学生時代にお世話になった先生とひょんなことから飯に行くことになった。
先生についての振り返り
久しぶりに再会した後、「ではいっぺん食事でも」という話が出て、そんなことを言って月日が経ち、ついにそれが実現する。至極自然な流れであった。
私はその先生を尊敬している。
授業中にうつらうつら船を漕いでばかりであった私を有難いことに放っておかず「聞いてる?」「(他の学生の発表を見て)そんなとんちんかんなこと言ってると、葉山さん(←私)寝ちゃうよ」など、山椒のようにピリピリと責め立て、卒論の講評では、「ふぅ~ん……寝てた割には良く書けてんじゃん」と愛ある言葉で褒め(?)てくださった。
私がヘタクソながらこうして文章を書いているのは、先生のおかげが少なからずある。
睡魔と仲良しだった当時の私について
そもそも、私は文章を書くのが好きだが、こういったブログや小説を書き始めたのは社会人になってからのことである。
読書は比較的していた方だと思われるが、書いた経験は学生時代はほとんどない。
ただ、大学で「文章創作」の授業があればなんとなく自然と履修し、なんとなく課題も出し、なんとなく単位を修得する。それくらいだ。
しかし今思えば年2本、2万字の小説を提出させられるあの授業は、「楽タン」(楽にとれる単位の授業)からは程遠かったが苦ではなかった。
確か私はその担当教授の持論にさっぱり共感できず、その上、上から目線でいけ好かなく、ぶうぶう文句を言いながら書いていた記憶がある。
文句を垂れながらもきちんと単位を取ったのだから、やはり無自覚でも興味は当時からあったんだろう。
また、上記の記述からも薄ぼんやり察せられるが、私は真面目な学生ではなかった。
大学時代、所属していた合気道部でいかに生意気なカス野郎を打ち倒すか、それにばかりに心血を注いでいた記憶しかない。
心血を注ぎ過ぎて、その他の時間はもっぱら睡魔と仲良ししてて、さっぱり記憶がないのである。
そしてそれは例外なく、つまるところ、まことに恐れ多いことに、私は、先生の講義を毎週確かに聞いていたはずであるのに、あまり記憶に残ってないのだ。
こんなこと口が裂けても言えないのでこの場所で吐露しておく。
加えて社交性も今より欠如していたと思う。
オイオイ……先生の私への評価……ダ、ダ、ダダイジョウブなのか!?
要するに、私は先生との飯が、大変楽しみであると同時に、大層恐ろしいのである。
先生が私に与えた影響について
先生の授業の内容は忘却に帰して久しいが、(本当に我ながら申し訳なく最悪である。)先生の影響力は私にとってすさまじかった。
先生は、私にとって初めて知り合う「著者」であったからだ。
ゼミに所属していたこともあり当然論文は拝読した。
私はそれまで本の向こうに人間がいるということを当たり前の事実として知っていたが、実感したことはなかった。
しかし、目の前で熱弁を奮う先生が書いた文章が印刷され世に出回っている。
文章に現れた情熱的な言葉の列は確かに「先生」なのであった。
それは芸能人やスポーツ選手と実際に会った時の「実在するんだ~」という感嘆と似ている。
さらに言えば、芸能人やスポーツ選手とは異なり、先生は私の睡魔を打ち払う。
ゼミ発表時、「それは余りに見当はずれなんじゃないのぉ?」と指摘される怖さを私は今でもリアルに思い出せる。緊張でじっとりと脂汗と涙が出ていたことも。(寝ていなければもう少し健闘できたであろうに……)
あれもこれも先生のせいであった。そういう体験を私に与え、そして目前で喋る著者であった。
多分、先生を見て私は「何か書けるかもしれない」と思ったんだと思う。
じわじわと人間と活字を結び付け、活字と私を結び付けてくれた気がする。
飯
食事に行こう!となったら先生の行動は迅速で、温かい言葉と共にコシャレたお店を予約してくれた。
凄い楽しみにしてくれてるし、凄いもてなしてくれようとしている。
恐縮である。
その気持ちがめちゃくちゃに嬉しいのだが、同時に学生時代の無礼極まる私のふるまいが思い出され自分で自分の首をまさに今、数年越しに締めたくなっている。
せめて……せめて楽しかったって思ってもらいてぇ!!!
再会の機会というのは互いにタイミングを合わせる気持ちがないと実現しない稀有なものだ。
この度実現し、あまつさえ話をする機会にも恵まれそうだ。
色々と課題を抱えた私であるが、こういった機を大事にできる人間でありたいと思う。
恥ずかしながら、「多分先生のおかげで、未熟ながら小説書いてます」って打ち明けてみてもいいのかもしれない……などと考えているが、それ楽しんでもらえる!? 大丈夫かな!? 本当に大丈夫か!?
話に詰まった時のためのレクリエーションとかを用意していこうと思っている。
今日からエンターテイナーになる準備に勤しまねばならない。
フラッシュモブとか用意しといた方がいいのかもしれない……
………不安であります。


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