今にも雨が降り出しそうなある日、私は仙石原に向かうバスに乗りました。
時刻は正午を過ぎたところです。
本当は午前中から出かけようと思っていたのですが、寝坊してしまい今に至ります。
そのせいかなんだか調子が出ず、バスに乗り込むことすら億劫なのでした。
本日はポーラ美術館に出かけ展示物を眺める予定です。
施設巡りバスでポーラ美術館へ
私は車を持っていないので、バスを利用することが多くあります。
中でも小田急が運営する箱根施設巡りバスは重宝します。
名前の通り、主要な観光施設をめぐるバスです。
これに乗っておけば大抵間違いありません。
そこそこに運行している本数も多いため、待ち時間が短いのも便利ですね。茶色い車体が目印です。
仙石原にバスで向かっていると周囲の景色はどんどん緑が多くなっていきます。
山中の木々はそろそろ紅葉真っ盛りです。
山全体がほんのり赤や黄色に染まりだしていました。
秋が深まりゆく気配を目で感じます。
仙石原には美術館が点在しています。
箱根観光に来た人は1度は足を踏み入れる地域であると言えましょう。
有名どころとしては、ガラスの森美術館や私が大好きなラリック美術館、星の王子さまミュージアムなどがあります。
ただ、あくまでも基本は山。
美術館や住宅地から少し離れると永遠と緑の山道が続いています。
ポーラ美術館に到着
バスから降りると小雨が降っていました。出かけてきたにも関わらず私のテンションは下がるばかりです。
加えて、バスの中でポーラ美術館のパンフレットを読んでいたところ、「自然光を生かし森の緑や空の青、風にそよぐ梢を館内にいながらも感じられるよう配慮された光の演出」とか「遊歩道のご案内」とかそんな素敵な文章が見受けられまして、これ雨だと行くのもったいなくない?出直した方が良くない?という気持ちがむくむく大きくなるのでした。
切ない。
しかしすでに美術館は目の前に見えています。
とりあえず入館。
そして、とりあえずおいしいもの食べることにしてレストランに直行しました。
ポーラ美術館内レストランアレイ
美術館できれいなものを眺めたり知らないことを知ったりするのが楽しいと感じるのは、元気な証拠であると思います。
多くの美術品を立って見て回るのは実際疲れますし、小さな文字の解説も段々読むのが面倒くさくなってきます。
今日のようなコンディションは美術館を見て周るには不適切です。
そういう時は美味しいものを食べるに限ります。
箱根のいくつかの美術館を回って思ったのですが、美術館のレストランは趣向を凝らしたメニューが多く見受けられます。
企画展に合わせた限定メニューやドリンク、展示物を模したスイーツ、作家にまつわるレシピなど、美術館の個性を目ではなく舌で味わうことができます。
ポーラ美術館の中にあるアレイは、白色で統一されたレストランです。
天井やテーブル、店員さんの制服も白。
たまたまこの日、私も白いブラウスを着ていました。
ちょっと嬉しかったです。
店内の左側の壁が一面大きな窓になっていて、色付き始めた山々が見渡せます。
今日のような曇った日でも十分な明るさで、店内だけは晴れ晴れとした開放感を感じました。
店員さんは雰囲気に合った白いジャケットを着て、ピシッとネクタイを締めています。
よどみない動作で席まで案内してくれた上に椅子まで引いてくれました。
緊張してしまいます。
メニューを開いてみると、華やかな食事とスイーツが並んでいます。
やはりありました。企画展限定メニュー。
こちらは展示を見てから食べたいものですね。今回は見送りましょう。
私が選んだのは和定食の鳥の巣ごもり丼と毎度おなじみスイーツコレクションです。
レストランは比較的すいていて、私を除いた4組のお客さんが食事を楽しんでいました。
皆「ちょっとよそ行き」な服を着ていますが、一様に足元はスニーカーです。
美術館をはしごしている方も少なくないのでしょう。
都会にある観光地との違いを感じます。
人の話し声が途切れた瞬間にだけ、沈黙を補うように控えめなBGMが聞こえます。
居心地の良い憩いの場という感じの空間でした。
そしてお食事が届きました!
鶏の巣籠り丼。
半熟卵がのってる丼に目がありません。
上の巣の部分のちりちりが噛めば噛むほどおいしくてずっともぐもぐしてました。
スルメかとも思ったんですが、後でその正体を聞いてみるとなんとネギでした。
ネギってなんかなんだろ。
いや、いいんですけど、ぴしっとした姿勢の良い店員さんに「ネギですね」って言われると、そっか~…ネギか~…という謎の拍子抜け感に襲われました。
めちゃめちゃかわいいアイドルがスーパーの総菜ポテトサラダ食ってるみたいな感覚…。
それとちっちゃいデザートもついてるんですが、これが柿のコンポートでポイント高かったです。最近のマイブーム柿です。
スイーツコレクションはワインのゼリーが大人な味でした。その華やかなビジュアルにくらくらします。
メニューを見ていてアレイのスイーツの麗しさに惚れ惚れしました。
大人っぽくて透明感があって、どれもスプーンで崩してしまうのが惜しいデザインです。
さすが美術館スイーツ。
紅茶についてた砂時計。
食べ終ってみるとさっきまでの憂鬱は見る影もなく、充実感に包まれていました。
おいしいものを食べて今日をやり切った感がすごい。
もう今日という日に満足です。
なんとなくもうポーラ美術館を満喫してしまったような気がして、そのまま美術館を出てしまいました(肝心の展示は見てないですが)。
レストランアレイは私のように食事だけでも楽しめるレストランでした。
しかしやはり、展示を見てから訪れた方がより一層楽しめるのではないでしょうか。
次回、ポーラ美術館リベンジの際には展示を楽しみ、その後で企画展限定メニューを食べようと思います。
次回の訪問が待ち遠しいです。
とにもかくにも、まずは晴れることを祈るばかりですが。
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